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2011年 02月 10日
月曜日までブログをチェックできないと思うので、舞台『ろくでなし啄木』大阪楽日を待たずに載せます(ネタバレしています)
久しぶりのシアターブラバ! ロビーは花が11個も飾られているわりには相変わらず暗く感じる。外からの自然光を取り入れた設計なのか、照明のせいなのか、ロビーの真ん中にデーンと大きな階段が陣取っているせいかも知れない。お花はKINCHOの白い胡蝶蘭が一番大きく目立っている(「冬でも焚くボク」いいね)。鶴瓶さんから三人にそれぞれ同じ大きさのお花が届いていて人懐っこい笑顔が浮かぶ。スマステからも2つ。グッズ売り場の横にはFC後援会の方からの花。グッズはパンフが大阪では珍しくリハーサル版もあり2種類、袋と手ぬぐいも買ったが帰ってから見たら青虫の絵が描かれていてビクッ(かわいい絵だけど、いっても虫だから苦手)ファイルは買わないつもりだったのに藤原さんの表情が面白くて買ってしまう。今回もすっかりのせられて散財。 劇場内に入るとまず目に入るのが、黒い布地の張った十字形の舞台とセットの後の垂れ幕。温泉の部屋のシーンになると横一文字に黒い廊下が走り、障子が2張りと廊下を隔てた向こうに1張り。前後の部屋(手前12畳、奥9畳ぐらい)にみたてたスペースには畳のような敷物が敷かれ、外のシーンではこの敷物をさっとはがす。あとで見たら小さな正方形のマジックテープが数カ所くっつけてあった。あれだけで激しい役者の動きに耐えているなんてすごいよマジックテープ。 垂れ幕には最初、地図のような模様(三陸海岸かなそれとも美術の堀尾さん関連で広島かなと思いスケッチして帰ってから同じ地形がないか調べたけれど、結局あれは温泉宿の古い土壁が崩れ落ちた様を表していた。思い込みって恥ずかしい) 始まる時の、タイトルの文字とその前に立つ雨に濡れた啄木。黒いこうもり傘にインバネスコートから浮き出るような蒼白いうつむき加減の顔。姿が消えると現れる100年前の啄木の肖像(最初に藤原竜也さんありきで決まった役どころだから、実在した啄木を出してくる必要はないんだけど。時間稼ぎと啄木へのオマージュかな) 雨に濡れて佇む姿は4回出てくる。一幕目最初と最後、二幕目最初と中程で(後の席だったので、ひょっとして映像なのかと思い、後からスタッフに聞いた。実際に雨を降らせていた)。3回目だけは真後ろを向く。直後に舞台前の方にうずくまる啄木が居なけりゃいけないから、あの時だけは違う人だったのかな、体つきが分厚かったように思う(前に居る啄木がしきりに手ぬぐいで顔を拭いていたけど)。啄木に合わせるようにタイトルも裏向きにしたのは面白い。人間心理の裏と表をあらわしているっていうのは後付けにも思えるが。4回目は顔だけ振り返る、その顔がやるせなくて怖い。 室内のシーンでは、三人が障子の左右真ん中を開け閉めし出入りする事で時間の経過を表し、奥の部屋との入れ替わりも暗示する。役者にとってややこしい段取りを覚えるだけで大変そうだが、床を動かさないこのやり方は新鮮で面白い。 時計の音、犬の遠吠え、ジャズ風の音楽も効果的。藤原道山さんの尺八は他の舞台でも聞いていたけれど、この舞台が一番しっくりきた。 室内には向かって右に手ぬぐいをかける低い衣桁と薄い座布団4枚、左には露な姿のトミさんを見る為にテツが持ち上げて覗いた座鏡と啄木の思索ノートが入った文庫箱。真ん中には大きな座卓(その上には途中リンゴが乗り、2幕目では裏側に黒い仕掛けのついたものに替わってミカンが乗る) ストーリーは以前メモに載せた「一握の砂」からの引用にそって進んでゆくように思えた。1幕目の謎を2幕目でテツと啄木が解いて聞かせる。どれが真実かは最後まで不明、だと思いたい。 中村勘太郎さん演じるテツさん。人の良さを前面に出してはいるが、トミさんにまで見抜かれていたいやらしい根性。 「一度ても 我に頭をさげさせし 人みな死ねと いのりてしこと」って目の前でトミさんに詠まれても気づかないその無神経さ。生きるのが上手い、何をしても生きてゆける強さ図太さ。細くて薄い啄木とは対照的な、筋肉質でバネのようなテツの体から、生きる強さを感じる。 テツが女将の口まねをするシーンでは客席が沸いた。ここで一級品の歌舞伎が観られるとはと年配の男性客も喜んでいた。 人がいいと思わせておいて、啄木をダマした瞬間、あの時の啄木の丸まった哀れな背中、からかわれたと分かった時に表に出てしまった殺意。 啄木の中に「人みな死ねと」がはっきり過る。トミとテツ、どちらが刺してもいい。自分が刺されてもいい。誰が死んでもいい。(トミに誘惑させてお金をせしめようとしたのは、借金を重ねた自分の傷口に塩を塗る自虐行為なのか。何の為にそんな事をするのかと聞かれて思いついたようにお金を巻き上げるという啄木) 「實務には 役に立たざるうた人と 我を見る人に 金借りにけり」 我を見る人、それがテツ。 テツが座卓の上に置いたリンゴとナイフが、2幕目ではミカンにかわり手品のようにくるっと消えて奥の部屋の座卓の上に現れる(この時客席からあっと小さく声がもれた。私もね)。二人の記憶の中ではナイフの出所があいまいで、振り返ってみて初めて啄木が置いたものかもしれないと気づく(が、それもあいまい、だと思いたい) 最後にテツが言う「そんなピンちゃんが書いたものが読みてぇんだよ」と。大ウソです。没後10年でさえまだ「一握の砂」をひとにぎりのすなと読んでしまう。覚えようともしない。「売れる本を書いてみろよ」と、文學はあくまで金儲けの手段。もの書きとしての石川啄木という名を嫌い、本名の石川一の「はじめ」とも呼ばない。親しみをこめたつもりの「ピンちゃん」と呼ぶ。その心は「ろくでなし(役に立たない)」男に対する優越感。せっかく思いついた「ぢっと手を見る」というフレーズを「じっとり」なんて茶化してみせる無神経なテツを、啄木は心底嫌悪し生命力を憎悪する。そんなテツに負けてしまった自分が情けなく、朝日の中で友人だと言った。ちっとも爽やかじゃない終わり方。三谷さんが演出する前の藤原さんたちが科白を一晩で覚えてきた時点では、若いエネルギー溢れる明るい青春ものになっていたのかもしれない。舞台後に爽やかな印象が残るのは、3人の役者の爽やかな存在ゆえでしょう。 吹石一恵さん演じるトミさん。 「それもよし これもよしとてあるひとの その氣がるさを 欲しくなりたり」 死へと向かう自分をよそに、これからの希望を語るトミの氣がるさが羨ましく、うとましい。 啄木が家族という重い現実から逃げ込める唯一の存在だったのに、試してみたらあっさり裏切ってくれた。 体を重ねた時、トミとテツの裏切りに気づいた啄木の、硬く冷めた横顔が、観ている者を共犯者のように責める。部屋を出て行った啄木の気持ちに気づかず、口裏を合わせたテツの部屋に行ってお礼をいう素直な女のずるさ。(テツと関係したその日に啄木を求めたトミさんは、万が一妊娠したら啄木の子だと思い込みたかったからじゃないのかと。ものすごく邪推深い私) 三谷さんが強調しておられた「エロさ」は、肌を見せるシーンや体を重ねるシーンではなく、啄木の最後の科白に感じた(記憶があいまいですが) 「その夜、珍しくトミさんのほうから僕を求めてきた。テツさんとは何もなかったと言う。僕は半信半疑でトミさんを抱いた。その時トミさんの体臭に混じってかすかに男の臭いが肌の上に漂っていることに気づく。トミさんが欲情するにつれてその臭いはいったん体の中に入り、そして体の中から滲み出てきた」というセリフ(だいたいこんな感じだったかと)。あんなセリフが書けるなんて三谷さん相当エロい(藤原さんがエロいのか。いや啄木がエロいのか。あ、私がエロいのか) 啄木がひなびた温泉宿に来たのは、小さな望みを抱いてトミとテツと自分を試してみたかったからかもしれない。うまく行けば何かが起こり何かが変わり、光が見えるかもしれないと。でも、見事に裏切られ、光が見えたのはトミとテツだけ。あとはもう重い現実を受けとめるしかかなった啄木。 「何かひとつ 不思議を示し 人みなの おどろくひまに 消えむと思ふ」 啄木にとって、「お金も愛もない状況」と「死」は同義語だったのではないか。 死を意識せずにすむ方法は、お金がない状態を常に作り出しておくこと。だからお金が入ってもすぐに使ってしまう。温泉宿での企みも、お金が目的のすべてだったわけじゃない。啄木自身にはない才能「お金儲け」が上手いテツさんからお金を全部巻き上げて、肺結核を患い死の影に怯える自分と同じ状況にテツさんを置きたかったのでは。トミさんに他の男と寝るように仕向けたのもトミさんの愛を失い追い込むためだったのか。 「死ね死ねと 己を怒り もだしたる 心の底の暗きむなしさ」 最初の回想シーンに戻ったトミとテツの後に、トースターで飛び出してきた啄木の明るく若いままの姿が、死んだ人間は歳をとらないという当たり前のことを見る者につきつける。飛び出した瞬間のもみ手をする姿を見て「かくし芸大会」で漫才をする藤原さんを思い出したが、あの時の羞恥心は捨てていた。 朝日に包まれて語る啄木。一見悟ったように聞こえる啄木の独白の爽やかさだけを助長するような尺八の柔らかい音色とあっけらかんとした歌声は、温くて気恥ずかしい。科白だけでよかった。流すのなら尺八の吐き出すような音色が欲しかった。 汗を涙を鼻水を流し、よだれをだらりと垂らして呻いた言葉の行く末の、あの啄木の科白は、そんなに軽い爽やかなものではない、絞り出すような明るさだったのに。あの音色は観客をミスリードしようとしていた。生きる気力が生まれたのではなく、すぐ先に訪れるであろう死を直視し、弱く惨めな自分の姿をありのまま描くことしかないという諦めにも似た境地。(空をさまよう目がトレープレフの最後の姿につながった)。愛もお金もない状況を受け入れて、恥をさらし自分を解放せざるを得なかった啄木が詠んだ歌が、あの一握の砂だったのか。 カーテンコール。1回目は芝居が終わった状態のまま3人が前へ進み出て、真ん中の立ち位置を順に、まるで芝居の中の早変わりのようにさっさと入れ替わりお辞儀、上手に退場。次に出て来るとき勘太郎さんが何か一言藤原さんに声をかけていた。腰大丈夫?と言ったように見えたが藤原さんは前をむいたまま、まばたきで合図(最後のシーンで座った啄木を後から突き倒す動作があり腰を痛めておられたのかと少々心配になった)この後下手に退場。客電がついても拍手は鳴りやまず、3回目はまたさっさとお辞儀をして上手に退場。4回目、ペコッとお辞儀だけして笑顔もなく上手に帰ろうとして吹石さんと勘太郎さんが、それはあんまりだと上手付近で立ち止まり、藤原さんちょっと苦笑いして3人上手の端っこで不自然にかたまってお辞儀して退場。いつもはもう少し昔のように愛想良くして欲しいと思うのだけれど、芝居の続きを見ているようで、これはこれで納得した。 計算し尽くした三谷さんの本と演出。その上での勘太郎さんと藤原さんの疾走するエネルギーと吹石さんのふわふわ浮きがありそうな空気感。見事な組み合わせでした。 演出家の意図を越えて、芝居が勝手に一人歩きするのも楽しいんじゃないか。啄木の歌にそって進んでゆくような本でしたが、三人の心理を推理して楽しむのがこの芝居の意図するところなら、十二分に今も妄想させてもらっています。芝居には楽しい科白やおどけた仕草が散りばめられていて何度もクスクス笑ったけれど、裏ばかり探りたくなった(2幕目の謎解きを見ながら、もう一度1幕目を見直したい衝動にかられた) 裏ばかり探ってしまうのに、役者3人の存在が爽やかだから、ちっともイヤな気持ちにならなかった。帰りの電車の中では、推理妄想から離れて、芝居の中の人物3人の輪郭線が揺れて重なり合い、そこに自分の輪郭が見えた気がして体の芯が震えた。意識的に見ないようにしていたわけでもなく忘れていたわけでもない自分の輪郭。啄木と一緒に吐き出してしまったように、目の前に突きつけられた自分の姿。 この舞台で一番印象に残った表情がある。 テツが自分の生き様を凄んで聞かせてみせるシーンで、着崩れた浴衣のまま呆然と立ちつくす啄木の、あのよるべない顔。心に焼き付いて痛い。 面白いシーンや科白がたくさんあって笑わせてもらったのに、根底に潜む啄木の苦悩が今もついて回る。いい舞台を観た幸せと共に。 (追記)母が2回観に行ったので舞台装置の事などを確かめてきてもらいましたが、今回は何故か無口で、あまり感想は聞けないでいます。 公演日によっては、藤原さんが少し流れてしまいがちになると、それに合わせるように勘太郎さんの凄むシーンがセーブされて、テツがいい人に見えてくる。結果的に可笑しい爽やかな舞台の印象が強くなるようです。勘太郎さんと藤原さん二人全力を出し切り、同じ量のエネルギーをぶつけ合って初めて裏の部分がくっきりと浮き上がってくる仕掛けなのかと思えました。大阪公演が無事終わり、いよいよ最終の東京公演。体調万全で成功のうちに終えられますように。
by shintoku0
| 2011-02-10 14:54
| 藤原竜也 舞台メモ
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Comments(16)
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とも
at 2011-02-13 07:59
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こんにちは
003の母さん、舞台の場面と啄木の詩との関連性について、 そう考えて見ると興味深く見れますね~。 ちょうど今、図書館から借りている「一握の砂」「悲しき玩具」が手元あるので、読んでみました。 三谷さんが脚本を書かれた時に、ローマ字日記や短歌集を色々と読まれて、イメージを膨らませて書かれたのでしょうし、「テツ」のイメージが、「我に頭をさげさせ」て、「役に立たざるうた人と我を見る人」と重なりますね。 三谷さんのエロいセリフ、あの三谷さんがこんなセリフを書いたと思うと、ビックリです。 後からも色々と考えてしまう、心に残る作品に出演出来て 竜也くん良かったな~と思います❤。
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003の母
at 2011-02-14 09:00
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ともさん おはようございます
いや〜アクセスがいつも以上に少なくてオロオロしてます(苦笑) コメント頂けてホッとしました。ありがとうございます。 テツって、啄木の文才、ナイーブなのに人を傷つける子供っぽさ、自虐性など、すべてにおいて対極にいる男の存在が必要だったんですよね。勘太郎さんの堅実さや律義さ、人が良さそうなイメージに、そういう裏の部分を感じさせる演技力を三谷さんは認めてあて書きされたのかなぁって思えました。 吹石さんは、女にルーズな啄木を想う可愛いけどしたたかさも感じる女のイメージをダブらせて観られる役者さんでした。あの二人の声量に負けないよく通る声、初舞台なのにスゴイですよね。映像ではオドオドした大きな目に気をとられていたんですけど、こんな舞台映えする役者さんだったなんて、うれしい発見です(以前「農業少女」を観た時に、映像では良さが分からなかった深津絵里さんに感じたのと似た感じです) そして何より啄木(藤原さん❤笑)今も観劇直後より強く啄木がついて回ってるんですよ。背後に傘をさした啄木が立っているような気配がします(笑)
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ryo
at 2011-02-14 23:36
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母さま、こんばんは。
何度かコメントを書こうとして書けなかったりしていたのですが、、、 前に“啄木のむき出しの心が痛くて”といったことを書きましたが、私がそれを感じたのは、あの独白の前、テツさんと啄木との二人のやり取りのシーンでした(思いっきりネタバレです)。金を返せと言うテツさんに賭場で全部すったと笑う啄木。トミさんとの関係をカマをかけて追いつめる時に「それでトミさんの具合はどうだった?喜ばせてやったかい?」と卑猥な言い方をする啄木。私が一番エロいと思ったのはここでした(私が観た時は、ほんっとうにいやらしい言い方だったんです)。テツさんを煽って挑発して「刺せよ、殺せよ」とナイフを掴んで自分の方に引き寄せた時は、本気でぞっとしました。そしてその後のテツさんの「最低って言うのはそんなもんじゃねぇ!」と言った反撃の凄味。「博打で全部すったなんてウソだろ、言ってみ」と言う時の嵩にかかった優越感丸出しの攻め方。打ちのめされて屈辱のまま「8円残しました」と言う啄木のセリフに起こった笑い声が、ひどく痛かったです。 文字数オーバーでした(汗)。続きます。
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ryo
at 2011-02-15 00:11
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長くなってすみません。
楽しかったとか、面白かったとか、そういった感想が多い舞台なのだと思いますし、私も笑った場面は多かったのですが、でもやはり残っているのは啄木の哀しさです。憎悪と狂気と頽廃にも生きられず、盗みをしたり見ず知らずの人を騙したりして図太くもしたたかにも生きられず、このあと、病と死と家族との葛藤と貧困とに闘いながら、100年後の今に残る作品を生み出していった啄木の生き方です。あ、もちろんそれは、現実の啄木ではなく、三谷さんの描いた藤原さんの啄木なのですが。 長い上に妙に細かくて、暗いコメントになってしまったみたいですみません。 友情出演されている映画の情報も公開されましたね。春以降は何となく淋しくなるのかな、と思っていたので、少しでも拝見できるなら嬉しいです♪
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003の母
at 2011-02-15 08:59
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ryoさま おはようございます。
コメントありがとうございます!!うれしいです☆ あの「トミさんの具合は」って科白もかなりエロかったですよね。具合って言葉が頭から離れなくて「雪の具合は」とか「お湯の具合は」なんて乱用してます(笑)そういうひっかかる言葉が他にも一杯あって後を引くんです、「高まり」とか(笑) テツの凄みと啄木の幼児性、トミさんへのテツの奥手と啄木のぞんざいさ、この対比がはっきりすればするほど、芝居の面白さ怖さが浮き出てくるように思えました。勘太郎さん、怖かった〜。「8円残しました」っていうところで周りの人たちが笑ったんですが、私もryoさんと同じく胸がキリキリして痛かったです。 話し出すとキリが無いくらい、もう仕事中以外は啄木で頭が一杯です。次の作品へと気持ちをもってゆこうとするのに、どうしても戻ってしまって。図書館で借りたりして読んでいた岩波文庫の啄木歌集も古本屋で買ってしまいました(笑)あらためて読むと深いです。石川啄木ではなく、ろくでなし藤原啄木が浮かぶんですけど(笑)
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003の母
at 2011-02-15 09:04
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ryoさま 私も長くなったので2つに分けます。
映画の情報もやっと公開されましたね。6月18日から順次上映って、思っていたより早かった(ムサシはどうなるのかな〜汗) 光石さんと一緒に働く配送業者の役って、トラック運転手のことでしょうか。実は昨夜「海辺のカフカ」をまた読み終えて、藤原さんを当てはめるとしたら(いつもこういう読み方をしています)トラック運転手のホシノさんかなと想像していたところでした。どんな映画でしょうね♪ 「遺恨あり」も近づいてきたし(東京での21日の3分間の特番はこちらではまだ予定がないみたい。汗)カイジ2も藤原さん抜きで撮影に入ったようですし、どんどん動いていますね〜♪ ryo さまのコメントお昼休みや仕事が終わってからあらためてじっくりと読ませて頂きます!ありがとうございます! 藤原さんの次の作品を楽しみに待ちながら、ゆっくり啄木を味わっていたいですね♪いい舞台でした
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003の母
at 2011-02-15 17:17
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ryoさまへ
しつこくてすみません。 拝読していてまた舞台が目に浮かんできました。 あのテツさんとのやりとりは圧巻でした。どちらが手を緩めても成立しない一騎打ち。「言ってみ」と言われた時、自分も責められているみたいに辛かった。 「藤原君はいつもこんな風にやってるのか」って三谷さんに言わせた色っぽいシーンって、トミさんに後から抱きついて甘くささやいてみたり、向き合って愛してるなんて抱きしめたり、あの辺だったんでしょうか。やさしいのに素っ気ない(笑) ryoさんがおっしゃる通り「トミさんの具合はどうだった」っていう啄木のいやらしさ、確かにドキっとさせられました。なんだかくっきりと場面が蘇りました。せつないのに、この嬉しさって一体何なんでしょう。 銀河劇場に24日にカメラが入るんですね。映像でみたらどんな風に感じるんだろ。 観劇の帰りに京橋の本屋で「敵討」を捜しましたが置いてませんでした。近くの劇場でタイトルロールを演じている藤原さんが主演されるドラマなのになんで置いてないのかな〜。借りて読んだ本ですけど、せっかくのドラマ化ですし藤原さんの写真が載った帯がついたのが出たらいいのに〜♪
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ryo
at 2011-02-16 00:21
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母さま
ご丁寧なお返事ありがとうございます! 私もしつこくすみません。 三谷さんが藤原さんに任せた、と言っていたシーンですね。ええっと、、、あんまり考えないようにしています(笑)。 去年「パレード」の時、木俣さんがブログで、藤原さんのことを「演じるという仮面の下から必ず人間の本質を覗き見させる(強さと弱さの混沌の凄味)」と書かれていて、なるほどなぁなんて思ったのですが、今度の啄木もその言葉を思い返しました。重い現実から目を逸らして逃げ出したい、捨て身になって立ち向かえない、つまらないプライドや小さなエゴを守ろうとする。啄木の弱さは私自身の弱さです。藤原さんが生きる役は、いつも生々しく私自身に返ってきます。 「敵討」私は古本で買いました(汗)。あと10日なのに、全然スポットCMを見ていないのですが(涙)、来週は番宣、少しでも見られるのかな~
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003の母
at 2011-02-16 08:52
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ryoさま おはようございます。
藤原さんが任せられたシーンは、サバサバした感じの吹石さんのおかげなのか、啄木の愛があまり真剣に見えなかったせいなのか、観てる時は全然妬けなかったんです。藤原さんがラブシーンを演じられる時いつもこれは演技だからって目で合図されてるように見えるんです、勝手に(笑)でも後から思い出すとスゴイ事をしていたなぁって赤面してしまう(爆)吹石さんのお母さんが観られたらビックリされたんじゃないかと(女優さんだから平気かな。汗) 木俣さんはずっと藤原さんの事を見守ってくださっていて、よく分かっておられる! 藤原さんはこの芝居では特に啄木その人にしか見えず、こんな人間なんだよって私に突きつけてきた。それが痛くて痛くて。 なかなか抜け出せないけど、それがまた気持ちがよくて。 全く違うファイルをアップしてみたらどうなるだろうって思うんですが、「遺恨あり」のCMが録れてないかチェックするのが日課になってるので昔のビデオを見る時間もなくて、ますます啄木に取り憑かれるという毎日です。CM私もまだ見られてないんですよ(涙)
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あんこ
at 2011-02-17 00:52
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こんばんは~♪
2月1日に一度だけ観る事が出来て、しあわせ♡だったんですが、コメント入れられずに早2週間あまり(汗) なんだか記憶がポーーンと飛んでしまって(恐)夢か現か、、舞台の藤原さんもおぼろ気で(汗)いったい私は何を観てたんだろう?と自己嫌悪に陥ってましたが、003の母さんの記憶力に助けられて、お蔭さまで、断片的に甦りました!(苦笑)ありがとうございます♪ 観劇途中、こんな啄木みせられたら、泣きそう、涙出そう、、困った(鼻水出るし、、笑)と思っていたら、それは有りませんでした。泣かせる演出ではなかったんですね?(笑) 一握の砂、で藤原啄木、味わい直してみます♪
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バル
at 2011-02-17 01:24
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003の母さん、こんばんは。そして、ryoさんこんばんは。お二人のやり取りを読ませていただいていると、凄く良くわかります。まったく同じような感じがしていました。啄木が大阪に行っている間に少し冷静になって自分を取り戻していたんですが、明日からまた銀河に戻ってくる!18日に観劇予定ですが、またどっぷり入りこんでしまいそうで怖いです(笑)でも、遺恨ありのおかげで少しはバランスを保っていられるかもとも思っているところです。
心配されている「ムサシ・ロンドン・NYバージョン」のDVDは確か4月20日?位に発売だったと思いますよ。映画館でお知らせしていました。 それにしても「ろくでなし啄木」、とっても後を引く舞台ですね! そして、「遺恨あり」も! 楽しみです。
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003の母
at 2011-02-17 08:54
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あんこさん、おはようございます〜♪
一度だけの観劇って、めっちゃめちゃ緊張しませんか。私は気が小さいし、行きの電車からもうドキドキしてて、お天気も心配でしたし劇場に着いた時にはすでにグッタリ(爆)でも舞台の上の状態や後の機材に囲まれたスタッフに質問したりと、やれる事はしっかりやってきました(笑)観劇から帰ったその夜に忘れないようにすぐこのメモを書いて、舞台道具の名前はあとから母に聞きましたが(曾祖母がいたらももっと分かったのに)念のためにネットで調べました(笑) 観劇途中では、テツに責められるところで辛くて、でも涙が出るところまではいかなかったかな。皆さんが笑っておられるところで、あんなに大声では笑えなかったです(逆にその大笑いが哀しくて腹が立って、悔し涙みたいなものが胸の中に流れました、でも泣かない。笑) ろくでなし、なんてタイトルにつけていても、石川啄木ファンや関係者達に喜んでもらえた舞台だったんじゃないかと。私自身あまり好きじゃなかった一握の砂が違った風に見えてきましたし、啄木が愛おしくなりましたから(あくまで藤原啄木ですけどね☆)
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003の母
at 2011-02-17 08:59
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バルさん、おはようございます。
ryoさんと二人でやりとりさせてもらって、私自身くっきり蘇ってくるセリフや表情が一杯ありました。楽しいのに、話しているうちに少しずつ寂しさもじわじわと感じ始めてました。 バルさんはまた観劇されるんですね。いいな〜!私も2回目観劇できないかと考えていたんですけど、行ける休日にはチケットがもう手に入らなくて(こんな事を先に書けば、どなたかが気を使ってくださっても悪いし、書けずにいました。笑) 遺恨ありに向かって気持ちを切り替えようとしてるけど、こちらではなかなか特番の予定も載らないんですよね。SABUの時は名古屋テレビ制作だったせいか、毎日短いながらもクイズまでまじえて番宣が放送されたのに。待っていると遅いです(苦笑) ムサシのDVDの情報はバルさんのブログで拝見してました☆ありがとうございます♪映画の上映がまだ京都では未定なんですよ〜前売り買ったのに。DVDより遅くなったらイヤやなぁってハラハラしてます。 (今日、昔の藤原さんの写真を載せたメモをアップしようと考えてました〜♪予告しておかないとズボラしそう。笑)
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003の母
at 2011-02-17 13:06
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ムサシの京都での上映期間、やっと発表になりましたが、4月9日から22日までですと〜〜遅〜っ! 一応DVD発売前だけど(汗)
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あんこ
at 2011-02-17 23:59
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こんばんは~♪こちらにもまた失礼します(汗)
ムサシは京都4月ですかぁ?熊本ではもう終わってしまって、行けなかったので、先日、ろくでなし啄木で遠征した時、もし京都であってたら、観たいと思ってました。残念、、、本当に遅いですね(汗) 独り言みたいなコメントでごめんなさい~(大汗)
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003の母
at 2011-02-19 12:05
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あんこさん〜今ごろ気づきました☆すみません(汗)
4月とは思わなかったです。遅すぎ〜!熊本は随分前に終わったんですよね、観に行っておられるかなぁって思っていました。 ドラマ「遺恨あり」が終わってしばらく寂しくなりますわ。 でもね「ろくでなし啄木」の銀河劇場にフジテレビからお花が届いてるみたいですよ〜何かな♪
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